えそ病

病原ウイルス:
タバコネクロシスウイルスD
(Tobacco necrosis virus D)
TNVーD
オリーブマイルドモザイクウイルス
(Olive mild mosaic virus)
OMMV
オリーブ潜在ウイルス1
(Olive latent virus 1)
OLVー1
チューリップネクロシスウイルス
(Tulip necrosis virus:仮称)
TulNV

 本病の発生は1971年に輸入隔離検疫中に発見された後、1974年に一般栽培圃場でも発生が確認された。 一時は発生面積が急速に拡大したが、その後、発生生態が明らかになり、防除対策がとられた結果、 近年では発生が減少した。 ただし、土壌と球根で伝染するため特定の地域あるいは品種において慢性的に発生が認められる。
 病原はタバコネクロシスウイルスTabacco necrosis virus (TNV)とされてきたが、 遺伝解析の結果4種のネクロウイルスに分けられることが明らかになった。 オリーブマイルドモザイクウイルス(OMMV)が最も激しいえそ症状を引き起こす。2006年に富山県ではOMMVのみが分離されている。


病 徴 
 萌芽期から葉の葉脈にそって紡錘形ないし線状のえそ小斑を形成する。えそ斑の中央部はやや陥没し、 病斑周縁部は水浸状になる。生育が進むにつれて病斑は増加し、互いに融合して大型のえそ条斑になる場合がある。 病斑形成部の生育が止まるため、植物体の生育がすすむにつれて、葉は捩れる。重症株は株全体が萎縮し、 さらに重度のものは腐敗枯死する。花弁ではかすり状のえそ条線もしくは増色型の細い条線を生じる場合があり、 球根ではりん片内部にえそを生じる場合がある。坪状に発生して、発病株のほとんどが萎縮あるいは枯死して、 圃場に穴があいたようになる。
 葉に類似のえそ斑点を形成する病害に 褐色斑点病があるが、 褐色斑点病の病斑は葉の表面に形成された小斑点が始まりで円形に近い病斑であるのに対し、 本病は葉の内部からえ死が進行して紡錘形のえそ斑やえそ条線になることが多い点で異なる。 なお、本病のえそ病斑に2次的に褐色斑点病菌が侵入して分生子を形成する場合があることから、 これを念頭において診断する必要がある。


発生生態
 えそ病ウイルスはいずれも根に寄生する菌類の一種である Olpidium virulentus によって伝搬される。チューリップやその他の植物の根中で増殖した保毒 O. virulentusは休眠胞子の形で土中に残って、伝染源になる。また、保毒していないO. virulentus も感染植物に寄生することによって保毒する。したがって、感染球根を植え付けた部分を中心に、 2次伝染して坪状に本病の発生が認められる。圃場の発病程度の差は品種の抵抗性や球根伝染率の他、 O. virulentusの活動に影響する土壌水分や地温などの要因に左右される。 すなわち、本菌はべん毛を有する遊走子が水中を遊泳して移動することから、 乾燥した土壌よりも湿潤土壌での発生や被害の拡大が大きく、 地温が低下して本菌の活動が低下する時期に植え付ける(遅植え)と発病は少ない。 媒介者であるO. virulentusの活動が好適な条件、 すなわち圃場の排水不良や地温が高い時期の植え付けが発生を促す。 また、連作や感受性の高い品種の作付けも重要な発病助長要因である。


防 除
 伝染源になる発病株の抜き取りが最も重要である。抜き取った発病株は圃場外に搬出して処分する。 なお、発病は開花期以降の生育期後半においても徐々に増加することから、頻繁に圃場内を見回る必要がある。 また、連作を避け、汚染圃場を特定して該当圃場での作付けを避ける。抵抗性品種を採用し、 問題となりがちな品種の植え付けは地温が十分に低下してから行う。 さらに、圃場の排水に努めることも効果的である。






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