更新日:2021年3月25日

ここから本文です。

(5)美しい水と大地を取り戻してきた環境

ものしりクイズに挑戦

5-1:発生源(げん)対策(たいさく)

40年間、毎年続けられている立入調査

  • 二度とイタイイタイ病を引き起こさないため、被害(ひがい)を受けた住民と三井金属鉱業(みついきんぞくこうぎょう)との取決めにより、住民が神岡鉱山(かみおかこうざん)や工場などに入って、イタイイタイ病の原因(げんいん)であるカドミウムでよごれた水などが流れ出していないか調査(ちょうさ)したり、また、流れ出したりしないように対策(たいさく)を求めることが認(みと)められました。
  • そこで住民たちは、裁判(さいばん)が終わった年から毎年、調査を続けています。

調査の目的は、神通川をふたたびカドミウムでよごさないこと

現在(げんざい)、神岡鉱山では輸入(ゆにゅう)鉱石や車の廃(はい)バッテリーから亜鉛(あえん)や鉛(なまり)を作っています。この工程(こうてい)の中で、カドミウムがふたたび神通川(じんづうがわ)の水をよごすことがないように、調査をしています。

清流を取りもどした神通川

  • こうした住民の調査結果やその調査にもとづく会社側の改善(かいぜん)努力によって、今では神通川のカドミウムの濃度(のうど)は国の決めた基準(きじゅん)を大きく下回り、清らかで安全な流れを取りもどしました。
  • また、荒(あ)れたままの山に木や草を植えて緑の山を取りもどしました。
  • このように、住民たちと公害を起こした会社がともになって行った公害防止(ぼうし)の取組みは、他には例のないものです。

5-2:汚染(おせん)農地対策(たいさく)

全国初!広大な農地復元(ふくげん)への取組み

  • カドミウムでよごれてしまった土地では、そこで育つイネなどの作物にカドミウムがたまり、それを食べることで人の体に悪い影響(えいきょう)が起こります。
  • そのため富山(とやま)県では、カドミウムでよごれてしまった1686.2haもの広大な地域(ちいき)を、もう一度米づくりができるようなきれいな土地にもどす工事に取り組みました。

2つの方法で工事

  • 工事では、2つの方法を土地に合わせて使い分けました。
  • その1つは、先ず、カドミウムでよごれた土地の表面をけずり取り(図(1))、そのよごれた土は、きれいな土をほり出した後のみぞに埋(う)め込(こ)み(図(2)(3))、耕盤土(こうばんど)という小石のまじった土でおおい(図(4))、その上にきれいな土を乗せる方法です(図(5)(6))。これを「埋込客土(うめこみきゃくど)工法」といいます。
  • もう1つは、よごれた土の上にじかに耕盤土を乗せてよごれた土をおおい、その上にきれいな土を乗せる「上乗(うわの)せ客土工法」という方法でした。


裁判が終わってから40年、美しく、安全な農地がよみがえりました

  • 農地復元工事は、2012(平成24)年3月までに、すべて終わりました。
  • 工事が終わった土地で作られた米のカドミウム濃度(のうど)は国の決めた基準(きじゅん)を大きく下回り、安全で豊(ゆた)かな大地を取りもどしました。


安心してお米が食べられるわ

5-3:かけがえのない自然を未来へ

住民、原因企業(きぎょう)、行政(ぎょうせい)がともになって環境被害(かんきょうひがい)を克服(こくふく)してきた歴史は、世界に誇(ほこ)れるものです。

  • 裁判を起こした住民たちと、原因(げんいん)となった会社の間には、現在(げんざい)では“緊張(きんちょう)感ある信頼(しんらい)関係”が築(きず)かれ、ともになって改善(かいぜん)に取り組んでいます。
  • そして富山(とやま)県では、健康被害(ひがい)に対する対策(たいさく)や、カドミウムでよごれた農地をよみがえらせることに取り組みました。
  • 住民、原因となった会社、行政がいっしょになって公害を無くすように取り組み、努力してきた歴史は世界に誇(ほこ)れるものです。

一度こわしてしまった自然を取りもどすには膨大(ぼうだい)な時間と労力、そして費用が必要です。

  • カドミウムでよごれた土地を元にもどすまでには、40年という長い年月と400億円以上という金額が必要でした。
  • 現在も続けられている住民たちの立入調査(ちょうさ)には、2011(平成23)年までに200億円以上を使っています。

二度と公害を繰(く)り返さず美しく豊かな環境を未来に引き継(つ)ぐこと、それが私(わたし)たちの使命です。

  • 今、わたしたちが見ることができる神通川の清流や水田風景など、美しく豊かな自然環境は、富山県に生きるわたしたちの宝物(たからもの)です。
  • この美しい自然がこわされ、イタイイタイ病で苦しんだ人たちがいたことを忘(わす)れず、自然や環境の大切さについて、もう一度みんなで考えてみましょう。そして、美しい自然を未来に残していくことの大切さや、そのために一人ひとりに何ができるかをみんなで話し合ってみましょう。

お問い合わせ

所属課室:厚生部イタイイタイ病資料館 

〒939-8224 富山市友杉151 

電話番号:076-428-0830

ファックス番号:076-428-0833

関連情報

 

このページに知りたい情報がない場合は

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?