咽頭結膜熱に気をつけよう!

咽頭結膜熱とは?
 毎年夏期に流行する感染症で、患者の多くは5歳以下の小児です。プールを介して感染することもあることから、「プール熱」と呼ばれることもあります。発熱を持って発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎に起因する咽頭痛、結膜炎に伴う結膜充血、眼痛、差明、流涙、眼脂を訴え、3〜5日間程持続します。眼症状は一般的に片目から始まり、その後他方にも出現します。結膜の炎症は下眼瞼結膜に強く、上眼瞼結膜には弱いとされています。眼に永久的な障害を残すことはありません。潜伏期間は5〜7日とされています。 
病原体
 アデノウイルスが原因となります。アデノウイルスは、正20面体構造をとるウイルスで、エンベロープがありません。これは、アルコールによる消毒効果が、エンベロープがある他のウイルスに比べて弱いことを意味します。また、アデノウイルスは、51種類の血清型が知られており、咽頭結膜熱の他に、伝染性角結膜炎や胃腸炎の原因となることも知られています。ちなみに、咽頭結膜熱の流行を起こすのは、主に3型で、1型、2型、4型、5型、6型および7型等でも流行がみられます。
アデノウイルスの電子顕微鏡写真(ウイルス部)
治療・予防方法
 特異的治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼症状が強い場合には、眼科的な治療が必要となることもあります。
 予防としては、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどがあります。消毒法に関しては、手指に対しては流水と石鹸による手洗いおよびエタノール、器具に対しては煮沸、次亜塩素酸ソーダを用いるとよいでしょう。特に、ウイルスは熱に弱いため、煮沸消毒が効果的です。
 また、該当症状がある場合には、他人に感染させる恐れがあるため、無理をせずプールの使用を控えるようにしましょう。体調不良の場合もプールの使用を控えましょう。プールを介しての流行に対しては、水泳前後のシャワーなど一般的な予防方法の励行が大切ですが、ときにはプールを一時的に閉鎖する必要もあります。
(富山県感染症情報センター)