環境汚染物質の生体影響に関する調査研究
 さまざまな環境汚染物質が、我々の体や健康にどのような影響を及ぼすかを知るため調査・研究を行っています。

 
環境汚染物質って何?
 環境汚染物質としては、公害病発生の原因物質となったカドミウムをはじめ、水銀、鉛などの重金属やPCB、DDT、BHCなどの有機塩素系化合物や農薬が有名です。
 最近では、ダイオキシンなど微量で内分泌を攪乱する化学物質(いわゆる環境ホルモン)が問題となっています。
 環境保健部では、アルツハイマー病との関連が報告されているアルミニウムなどの有害金属に、一般人がどれだけ暴露しているかを、尿や血液を用いて調査しています。
 我々が化学物質にどれだけ汚染されているかを知ることは重要なことから、毒性や蓄積性が低いといわれてきた有機リン系農薬について、非農家での暴露調査を行っています。
 身近な環境汚染として、喫煙などの影響についても調査を行っています。

 
有機リン系農薬の残留性は…?
 有機リン系農薬は、人畜への毒性が低いといわれ、農業用、家庭用に主に殺虫剤として一般的に使われていますが、環境保健部ではその暴露の指標として、尿中に排泄される農薬代謝物を分析しています。
 これまでの調査で、農薬散布にまったくかかわらない人でもほぼ一年中、ごくわずかですが、尿中に代謝物が排泄されていることがわかりました(下図参照)。
 農薬の使用が多い時期には排泄量の増加が見られ、農薬を使わない時期にも代謝物は排泄されていました。
 いつでも誰にでも、有機リン系農薬(有機リン化合物)を体内に取り込む機会があるのだろうと考えられます。
有機リン系農薬に共通な代謝物(2種類)の尿中排泄量の推移

 
 
喫煙は生体微量元素セレンに影響を及ぼす?
 たばこ煙中には、ベンツピレンなどの発がん物質をはじめ多くの有害物質が含まれています。がんやいろいろな病気の発症には、それらの有害物質が体内において発生させる活性酸素や過酸化脂質が関係しているといわれています。
 セレンは、自然界にわずかしか存在しない(微量)元素ですが、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素を作り、活性酸素や過酸化脂質を消去して生体を守る働き(抗酸化機能)の中心的役割を果たしていると考えられています。
 そこで、がんやいろいろな生活習慣病の危険因子とされている喫煙習慣によって、生体内セレンがどのような影響を受けるのか、成人男性について調査を行いました。
 その結果、1日あたり20本以上吸う喫煙者は、吸わない人に比べ、血清中のセレン濃度が低値を示しました。
 以上のことから喫煙習慣は、発がんや病気の予防機能を有する血清中のセレンを減少させるものと考えられます。