

| 1) | 入所にあたっては結核発病の有無に関する健康診断を行うことが重要です。 また、結核の既往歴以外に、表4に示してある免 疫力を低下させる要因となる糖尿病、がん、抗がん剤治療、じん肺、副腎皮質ホルモン剤治療、胃潰瘍などの疾患等に関する情報についても慎重に聴取すること が大切です。 |
| 2) | 入所後は、結核予防法第4条に定められた施設(老人福祉法にいう養護老人 ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームなど)の場合には施設長の責任において定期の健康診断を行います。また、同法における位置づけのない老人保健 施設やその他の入所施設の場合であっても、入所者の健康管理及び施設職員への感染防止の観点から、定期的な健康診断を行う必要があります。 |
| 3) | 健康診断の結果、結核発病の可能性があると判定された者については、精密 検査を確実に実施し、その結果を必ず確認します。 |
| 4) | 入所者が2週間以上にわたる呼吸器症状(咳や痰)を訴える場合、できるだ け早期に医療機関を受診させることが重要です。また、高齢者の場合、呼吸器症状が顕著でない場合もあります。呼吸器症状のみならず、微熱、体重減少、食欲 低下、寝汗など健康状態に変化があった場合は、早期に医療機関を受診させましょう。 |
| 5) | 施設の協力病院と密接な連携を取りながら、胸部レントゲン検査による診断の みならず結核菌検査を組み合わせて早期診断を心がけましょう。 |
| ・ | 早期に医療機関を受診させることはもちろん、 結核の可能性を考慮した以下に示す感染予防策を講じることが大切です。 |


| 1) | 医師により診断から2日以内に保健所へ連絡します。 |
| 2) | 施設内の感染対策委員会に報告し、速やかに施設内の対応をします。 |
| 3) | 本人が転院するための具体的方法を検討します。 |
| 4) | 本人と家族に十分説明を行い、転院の必要性を伝えるとともに本人と家族の精 神面のフォローに配慮します。 |
| 1) | 入所者あるいは職員が結核と診断された場合は、直ちに所轄の保健所と協議 を行い、保健所長との連携のもとに適切な措置を講じてください。 |
| 2) | 本人の病状によって、その本人と接触のあった入所者、職員、家族などを対 象として結核予防法にもとづく「定期外健康診断」を行う必要があります。定期外健康診断の要否は、初発患者の排菌状況、咳の期間、接触の程度、接触者集団 の性質などを勘案して保健所長が判断します。 |
| 3) | 定期外健康診断を行うことが決定した場合は、健康診断の対象者、健康診断 の方法と時期などを具体的に提示します。 |
| 職員採用時には定期外検診に備えて、採用時の健康診断で問診や胸部レン
トゲン撮影のほか二段階法によるツベルクリン反応検査を実施します。
また、職員の定期健康診断では、常勤職員のほか嘱託やパートを含むすべての職員を対象に実施するとともに、健診等の結果は経年的に記 録・保管しておきます。 |

| 1) | 職員には日頃から、結核に関する疾患の知識をはじめ感染の予防方法、結核 発生時の対応について計画的かつ継続的に教育・研修を行います。 |
| 2) | 研修は、知識の習得だけではなく、N95マスクの正しい使用方法を装着し てみるなど、実践的訓練の両面から実施することが必要です。 |
| 感染予防対策は平常時から施設全体として組織的・系統的に取り組むこと が重要です。そのため、施設内に「感染対策委員会」を設置します。委員会の役割は表2に示すとおりです。設置した委員会は形骸化させることなく実質的に機 能させるとともに、委員会には「予算」と「権限」を与えることが必要です。 |


| 表3 高齢者の結核発病の仕方(結核予防会会長 青木正和氏による) |
| 内因性再燃 | 大部分の高齢者の結核発病 | ずっと以前に感染を受け、安定した病巣 内で増殖を止めていた結核菌が、何らかの理由で再び増殖を初めて発病したもの |
| 初感染発病 | 偶然、高年齢まで未感染でおり、今回新 たに発病 | 高齢期になるまで結核の感染を受けずに いたため、今回感染して発病したもの |
| 二次的初感染発病 | 初感染巣が完全に治癒した後に二次的に 感染し発病 | 初感染は完全に治癒しているが長期間の のちに免疫を失い、未感染と同じ状態になり感染し発病したもの |
| 再感染発病 | 本当の意味の再感染 | 以前に初感染を受け、免疫を持っている が、HIV感染、腎機能不全などで免疫が低下し、再感染を受けて発病したもの |
| 表4 免疫力を低下させる主な要因 |
