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    雪との取り組み −克雪から親雪へ−
水雪土地対策課 瀬戸 正次
富山県は雪国。山に降り積もる雪は、豊かな水の供給源として水の王国富山を支えている。しかし、時として降り過ぎる雪は、人々の生活や産業活動に障害をもたらす。雪対策のモデル県たる本県の、「利雪・新雪」にわたる様々な取組をここに紹介。
Key words(あいうえお順)
エルニーニョ現象 , 豪雪18年周期説 , 瀬戸正次 , 富山県総合雪対策条例 , 防雪街区 , 雪情報提供システム , 雪との取り組み , 雪美の庭 ,
雪対策のモデル県を目指して
1 富山県総合雪対策条例
 今年の冬は、10年ぶりの大雪となった。累計積雪量は336センチ、富山市での最大積雪深は80センチを越えた。昨年の夏に暖冬の一要因とされる赤道上のエルニーニョ現象が消えたことなどから「平年並みの冬に戻る」としていた気象台の長期予報が、的中した。ちょうど15年前の56豪雪での累計積雪量は859センチと今冬の約3倍近くに達し、県民生活や社会活動に大きな被害(死傷者1200人、直接被害203億円)をもたらしたことは、記憶に新しい。

 これを契機として、誕生したばかりの中沖県政の最重点課題として雪対策が取り挙げられ、全国にも類例を見ない「富山県総合雪対策研究会議」を設置し雪対策全般について調査研究を進め、この検討結果を踏まえて昭和60年3月に都道府県では初めての「富山県総合雪対策条例」を制定した。

この条例の制定にあたっては、

という観点に沿って制定されたものである。
2 雪対策の目標
 平成3年3月に新富山県総合雪対策基本計画を策定し、この中で、雪対策の目標を3点掲げた。

雪の中でも、

即ち、21世紀を展望する新しい時代にふさわしい、“雪に強いいきいき富山”の創造を目指すということである。今日この目標に向けた各施策が着実に進展してきており、幹線道路の除排雪を中心とした克雪対策では、平年並みの降積雪に充分対応できるまでになり、親雪活動においても、数多くの市町村で、多彩な冬のイベントが催され、今までよりも明るいイメージで冬を迎えられるようになった。思うに、我々行政マンも、雪に対して守りの順応型から攻めの積極型に発想を転換し、全国に先駆けたいろいろなユニークな事業を発案し実施してきたところが大きいからではなかろうか。
3 主要な施策と全国に先駆けたユニークな事業
1)雪に強い快適なまちづくりの推進
 冬でも日常生活や社会活動に支障がでないよう、都市・農村・漁村をそれぞれの地域が全体として雪に強いまちとなるよう種々の事業を展開している。 2)交通の確保及び情報通信体制の整備
 バス路線、駅、空港等へのアクセス道路の優先的な除排雪を実施し、公共交通の円滑な運行の確保、利用の促進に努めている。
 併せて、気象、交通、防災に関する各種の雪情報提供システムを充実している。 3)除排雪の推進
 県、市町村、住民が連携をとりながら一体となって、歩道を含めた道路除排雪及び地域ぐるみの除排雪を積極的に展開している。 4)雪の利用の促進
 雪をスポーツ・レクリエーションの機会や観光資源などしてとらえ、富山の冬をいきいきとした楽しいものにするとともに、雪を資源として利用する産業を振興している。  
今後の重点課題
1 高齢化社会への対応策の強化
 高齢化社会の進展に対応し、高齢者、障害者の方が冬期においても不安なく快適に暮らせる生活環境を整備していくことが大切である。このため、雪に強い快適なまちづくりや除排雪の推進はもとより、その中の各事業の実施においても、高齢者に利便性を感じていただけるようきめ細やかな視点を持って対応していきたいと考えている。重要な課題でもあり、皆様からいろいろな意見を是非いただきたいと願っている。

2 克雪用水の安定確保
消融雪施設整備への県民ニーズは、年々高まりを見せている。これに伴って克雪用水需給量は、平成4年の約102万トン/日から平成22年の約132万トン/日へと約30万トン/日の増加が見込まれ、克雪用水の安定確保が課題となる。このため、雪対策ダムの建設、水量の豊富な河川から市街地への消流雪用水の導入、農村部での農業用水の有効利用、下水処理水や温泉廃水の再利用、節水型消雪工法の普及等の対策を一段と促進し、克雪用水を安定的に確保することとしている。  


おわりに
 豪雪18年周期説なるものが当たるとするならば、昭和20年、38年、56年、次は3年後の平成11年の冬ということになるが、これまでの実績を活かし、県民総ぐるみで立ち向かっていきたいものである。
瀬戸 正次(せと しょうじ)写真
1951年氷見市生れ。富山農地林務事務所、耕地課を経て、95年より生活環境部水雪土地対策課副主幹。